夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦
京都を舞台に独特な文体で表現された書。時代設定、舞台、経歴共に万城目学氏と比較されることは多々あるかと思うが、森見氏の方が文学的で万城目氏はエンタメ的といった見解です。
4つの短編を一環して2人の主人公視点で交互に綴られているが、ザッピングぽくチュンソフトの名作「街」を2人に絞った小説のようでした。(木更津キャッツアイも同じような作りでしたね。オチというか後日譚として使われてたけど)
独特なだけに最初は取っ掛かり難いが、慣れればテンポ良く読めるし、ぐいぐいと引き込ませるものも持っていました。どちらの語りも一人称が「私」なのは意味があるのか気にはなったけど瑣末でしたね。
話は「深海魚たち」が一番面白いと思いました。生き別れになった絵本を求める乙女と、その絵本を手に入れる為に努力する先輩の描かれかたが最高でした。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/29
- メディア: 単行本
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最後の授業/ランディ・パウシュ+ジェフリー・ザスロー
素晴らしい授業でした。現状を受け入れ、今ある手の内で最善の手を尽くすということにガツンともっていかれました。言葉の重みが違いすぎます。
・レンガの壁
・頭のフェイント
・決してあきらめない
・楽観的でいる
…etc
示唆に富んだ言葉の数々に勇気を与えられ、考えさせられ、涙しました。
そして悲しいことに幼い頃の自分の夢を忘れてしまっていることに気づいてしまいました。実現していても感動することすらできません。仕方ないですね。
新たに夢みることにします、思い出すだけでワクワクする夢が良いね。
ランディ・パウシュ氏に合掌。
- 作者: ランディパウシュ,ジェフリーザスロー,矢羽野薫
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/06/19
- メディア: 単行本
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イニシエーション・ラブ/乾くるみ
静岡が舞台の遠距離恋愛小説?静岡市には2年住んでいたことから静岡ローカル小説としても楽しめました。
今でも近所の本屋でポップ付きで平積みされていて「ラスト2行が…」とか思わせぶりなことが書かれていたので、叙述トリックってのは解ったんですが、最後の2行を読んだ時に別の違和感がありました。
それで例に漏れずすぐに再読を始めた訳ですが、もう一つのトリックに仰天。背筋もひんやりとしました。
一度目は恋愛小説として読め、2度目はミステリとして読めた珍しくもお得な一冊でした。
何時までも男は愚か、女は賢く、そして恐ろしいです。
- 作者: 乾 くるみ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 文庫
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夜のピクニック/恩田陸
今夜スカパーで映画が放送されるので、それまでにどうしても読了したかった。読み出したらイッキだったが。
かのスティーブン・キングで最も好きな著作である「死のロングウォーク」があるが、歩き続けたり、秘密が明かされたりとかの大まかな設定がそのままで、すこしリアルに構成したのが好印象でした。
話は高校の一大イベントとして80kmを夜通しで走破する話だが、恋愛ではない青春小説で良かったと思う自分がいる。多分食傷気味なんだろうね、青春小説は大好きだけど。
「好きの反対は無関心」とは良く言ったもので、貴子と融はお互い関心ありまくりで、良い感じで融解していく流れにスッキリしました。ただおまじないのくだりが何度か出てきて、伏線として匂わせるだけで良いのに説明しすぎと思ったのは秘密です。
ただ青春小説ってのは上手く纏っているよりも青臭いパワーで押し切った作品の方が良いと思うのは事実です。だからそういったことも含めて「夜のピクニック」はお勧めですね。
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー)
- 作者: スティーヴンキング,リチャード・バックマン,沼尻素子
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1989/07/01
- メディア: 文庫
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夜のピクニック
お約束通り映画を視聴。
多部ちゃんかわいい〜。
でも原作レイプ気味。アニメの使い方は下妻物語の方が数倍良かった。あとKISS風救護班も意味不明。
しかし肝心の自由歩行が始まってからの描写は良かったと思う。ようやく判りあえたときの距離感とか。
本屋大賞ってもれなく映画化しているんだよね。改めてすごい賞だ。「ゴールデンスランバー」はどうするんだろう、ものすごくエンターテイメント向きなんだけど。
- 出版社/メーカー: ハピネット
- 発売日: 2008/02/08
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鴨川ホルモー/万城目学
万城目学氏の著作は「鹿男あをによし」を既に読了していて、今回処女作を読んだ訳ですが、日常の風景に、ちょっと有り得ないがひょっとしてあるかもしれないと思わせるフィクションを織り交ぜて、エンターティメントに消化させるのが上手いなあというのが、私の万城目学評です。
ホルモーの全貌が判るまで実に100ページを費やす訳ですが、別にホルモー自体に期待していたわけじゃないので青春小説として楽しめました。人によってはスピード感に欠けると感じるかもしれませんが、なんだか時間軸が大学生のようにゆったりしていて良いじゃないですか。
それで本題のホルモーですが、まるで銀河英雄伝説を読んだかの様な描写、また私はアニメ版の銀河英雄伝説も観ていたので、文章を読みながら映像を再生しているかの錯覚を覚えるくらい堪能しました。艦隊戦と式神でやっていることはほぼ同じ、しかもこれ以上無駄がない説明でさらりと書かれていることに感動しました。
少なくとも私には楠木さんは孔明ではなくヤン・ウェンリーだなと思った次第です。
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 産業編集センター
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎
伊坂幸太郎氏の著作を読むのは本作が始めてで、著者のスタイル等先入観無しで読んだ訳ですが、印象は大小さまざまな伏線を張り巡らせてきっちり回収することで物語を作っていくというものでした。
第一章、二章と事件の概要を描き、三章で黒幕まで明かした状態で四章に入る訳ですが、過去と現在の話を織り交ぜ伏線を張り回収していくので隙というか無駄がない。
四章のクライマックスから物語的には有り得ない終わらせ方をして、五章で救われる。上手いなあと…。
読了後気になったことを確認する為にまた20年後が描かれている三章を読み直す。そこで初めて気付かされる事実にびっくりした。事前に読んでいたはずの三章が全く異なる印象を抱くことができるのだから、よくできてるなあと。
自分の中では三章を独白しているのは二人のうちどちらかと思っていたが、ここでも伏線が張り巡らされていて一人に絞ることができ、納得しました。「森の声」と「若者の声」ですね。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/29
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